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ウェアラブル時代のセキュリティ 

Jun 09, 2013 11:19 PM

ウェアラブル技術、つまり身に着けて生活を快適にするための技術について、多くのハイテク企業が研究を進めています。この種の技術のコミュニティを最近最も賑わせているのがスマートグラスであり、なかでも話題の中心になっているのが Google Glass です。拡張現実(AR)を利用した視覚支援という機能は魅力的に思えますが、プライバシーの観点からどこまでを許可するかという議論も巻き起こっています。友人を撮影するときに必ず通知する必要があるとしたら、おそらく、録画中は Google Glass で赤い LED を点滅させるべきでしょう。「邪視(Evil Eye)」という言葉の意味も変わってきます。Google Glass の組み込み機能を拡張しようとしているユーザーを Web で検索してみると、ありとあらゆる統合機能について面白いアイデアが見つかります。そのひとつが、議論を呼んでいる顔認識機能です。

しかし、注目に値するウェアラブルデバイスは、Google Glass だけではありません。スマートブレスレットやインテリジェントシューズから、他のデバイスと通信できる腕時計まで、購入可能なデバイスすべてがそうです。先日開催された「D: All things Digital」カンファレンス(D11)でも、試作品が何点か公開されました。

たとえば Motorola 社は、鍵と同じように個人の認証に使える電子タトゥーを実演したほか、さらに一歩進んで、飲み込むと身体の中から信号を発信する錠剤まで発表しました。どちらも、人間の身体をいわばパスワードトークン(身元を保証するもの)と見なし、認証の目的に利用するという発想です。

もちろん、似たような技術はすでに使われています。RFID カードもポケットに入れれば身に着けられますし、生体認証は言うまでもありません。指を押し当てるだけで魔法のようにドアが開く自動車も登場しています。自分の指紋も、言ってみれば常に身に着けているようなものです。残念ながら、指紋読み取り機は非接触式ではないため、無線技術ほど便利ではありません。一方、信号を送信する方式には必ず、プライバシーと追跡に関する問題がつきまといます。RFID 式のパスポートを導入した国のほとんどで、このことが問題視されています。チップから秘密鍵を抜き出して他人になりすますことはできないとしても、デジタル指紋の応答を生成することは可能なので、追跡プロファイルは作成できることになります。不正な RFID 読み取りを防ぐために、ファラデーケージ(電磁シールドの一種)を利用して財布を保護している人が多いのは、このためです。さすがに、T シャツをファラデーケージで保護しなければならない日がすぐに来るとは思いませんが、ウェアラブルな認証トークンを広く普及させようと考えたときには、これも解決しなければならない課題のひとつです。

とは言え、これは興味の尽きない分野であり、特にパスワードを忘れがちな人には間違いなく便利なものでしょう。もっとも、錠剤タイプの場合、飲み忘れてしまったら同じことですが。そもそもデフォルトで強力なパスワードなので、脆弱なパスワードという問題も解決されますし、パスワードマネージャのマスターパスワードとして使うこともできます。しかし、このコンセプトがどのように実装されるか、人々がこのようなデバイスを受け入れるかどうかは、今後の様子を見守る必要があります。実装の状況によっては、システムに対する攻撃が依然として可能な場合や、完全にパスワードを無視して認証済みのセッションを盗み出すことも可能かもしれません。

いずれにしても、シマンテックはこうした技術の推移に注目しており、詐欺メールの厳重な監視を続けています。安価な薬の宣伝に代わって、ユーザーの認証用錠剤を送るように指示する詐欺メールが出現するかもしれません。

 

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