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ハッキングで自動車が自在に操られる危険性 

Aug 02, 2013 01:32 AM

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最近の自動車には、高度な電子機器が多数搭載されており、あらゆるセンサー、処理装置、電子制御ユニットを接続するケーブルの全長は 1 km を超えるほどです。車両自体が大型のコンピュータのようになっており、これまでの歴史が示しているとおり、コンピュータがあれば必ず攻撃の対象として狙われます。車載ネットワークを通じて自動車を攻撃することの現実性については、過去数年間にいくつかの研究が行われています。大半の研究は、完全に物理的なアクセスによって自動車を攻撃する方法に終始していますが、なかには外部の攻撃経路を調査した研究もあります。

自動車に対して物理的なアクセスが可能な場合、攻撃者は CAN(コントローラエリアネットワーク)システムや OBD(車載診断)システムなどにもアクセスできますが、ブレーキに細工する、車両自体を盗むなど、ほかにも悪質な行為を行うことも可能です。一方、自動車に対するデジタルな改変操作を事後に証明することは、物理的な行為より困難な場合があります。このような攻撃は、リモートコード実行の余地がある他の攻撃と組み合わせることも可能であり、ペイロードの実証と捉える必要があります。

物理的にアクセスせずに車載システムに侵入する経路は、タイヤ圧監視システム、TMC(交通メッセージチャネル)のメッセージ、GSM 接続や Bluetooth 接続など、いくつかあります。車両の一部の機能を制御できるスマートフォン向けアプリを開発し始めたメーカーもあり、それも新しい攻撃経路として利用される可能性が出てきました。また、特別に細工した音楽ファイルを USB ドライブに潜ませ、車載システムの一部を乗っ取ることができたというケースも確認されています。

DARPA のプロジェクトに研究員として携わっているチャーリー・ミラー(Charlie Miller)氏とクリス・バラセク(Chris Valasek)氏は、車両に乗り込んだ場合にどの程度まで CAN をハッキングできるかを研究しています。DEFCON カンファレンス向けプレゼンテーションのプレリリース版ビデオによると、自動車の機能はほぼすべて制御またはトリガーすることができ、たとえばライトをすべて消灯する、エンジンを停止する、ブレーキを無効にする、一分ハンドル操作を行う、クラクションを鳴らす、システムディスプレイを操作することが可能です。これが深刻な事故につながりうることは容易に想像できます。悪質なファームウェア更新やシステム変更を利用すれば、このような改変を恒久的に、かつ見つからないようにすることも不可能ではありません。もちろん、ラップトップとモデムをグローブボックスに入れても同様の攻撃は可能ですが、この方法に比べれば発覚しやすいでしょう。攻撃者がこの研究と同じ手口を使ったしても、後部座席に攻撃者のラップトップがあるのに気づけば、きっと怪しむはずです。

自動車メーカーもこうした課題に気づいており、車載ネットワークのセキュリティについて何年間も改善を続けています。リモート攻撃の経路については特に、解析と保護対策が必要です。シマンテックでも、今後の改善に向けてこの分野の研究に注目しています。ミラーとバラセクの両氏の研究では、自動車が攻撃者にとって格好の標的になることが実証されていますが、運転中にハッカーに乗っ取られるよりもはるかに大きなリスクがすでに存在しています。個人的には、運転中にスマートフォンを操作している人がいることに脅威を感じます。少なくとも当面の間、自動車事故という点では、このほうがはるかに大きなリスクでしょう。運転は、どうぞ安全第一で。

 

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