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モバイルソフトウェアマーケットに暗い影を落とすグレイウェア 

Feb 27, 2014 02:25 AM

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モバイルセキュリティで非常に厄介なのが、「グレイウェア」をめぐる問題です。正規のソフトウェアとマルウェアとの間に明確な境界線はなく、グレイウェアは概ねその曖昧な領域に存在します。グレイウェアとは、明らかにマルウェアと言えるものを隠し持っているとは限らないものの、何らかの形でユーザーにとって有害または迷惑なアプリのことです。たとえば、ユーザーの所在や Web ブラウズの習慣を追跡する、望まない広告をしつこく表示するといった動作をします。多くの場合、グレイウェアの作成者はソフトウェアライセンス契約の中に小さな文字でアプリの機能概要を示して正規のアプリを装います。
 
グレイウェア自体は目新しい存在ではなく、無償アプリケーションにスパイウェアなどの余計なものが含まれているとして議論の対象になり始めたのはもう 10 年以上も前のことです。PC ユーザーのスキルが上がり、インストールされるものに関して敏感になるとともに、その議論は下火になりましたが、スマートフォンという新しい環境が登場するようになると、まったく新しいソフトウェアマーケットが生まれました。スマートフォンのユーザーは、まるで 10 数年前の PC 環境に対するのと同じような不用心さで、モバイルソフトウェアマーケットに接しています。多くの場合、ユーザーは、機能の全容をほとんど、あるいはまったく知らないままモバイルアプリをインストールしているのです。
 
これは深刻な問題です。シマンテックが集めたデータでは、モバイルアプリの 3 分の 1 以上がグレイウェアと見なせると示唆されています。ノートン モバイルセキュリティの新バージョンが発表された昨年までに、シマンテックのアプリ解析ツール、ノートン モバイルインサイトは、400 万以上のアプリを解析してきましたが、そのなかでグレイウェアに分類できるものは 150 万にのぼりました。これは、マルウェアに分類されるアプリの 30 万という数字と比べると相当な数です。
 
グレイウェアの形態は、ユーザーのプライバシーをもてあそぶアプリから、さらに手の込んだアプリまでさまざまです。たとえば、シマンテックが最近発見したグレイウェアアプリは、「いいね」やフォロワーの数を増やすためとして Instagram ユーザーにユーザー名とパスワードを共有するよう誘導します。これは InstLike というアプリで、Apple 社の App Store でも Google Play でもしばらくの間ダウンロードできましたが、その後どちらからも削除されました。
 
このアプリは、フォロワーと「いいね」の数を無料で増やせると謳っていますが、実際にはユーザーの Instagram ログイン情報を要求します。この要求に応じると、アプリはユーザーの Instagram アカウントを制御できるようになり、ユーザーが操作しなくても写真に自動的に「いいね」を付けます。
 
モバイルグレイウェアのうち、ここ数年で増加しているカテゴリのひとつが「マッドウェア」です。マッドウェアとは、攻撃的な広告ライブラリを使うアプリのことを指します。広告ライブラリは、ターゲット広告を表示するためにユーザーに関する情報を収集できるアプリのコンポーネントです。収入を広告に依存することが多い無料アプリではよく使われる機能ですが、一部には、個人情報を漏えいする、通知バーに広告を表示する、広告用のアイコンを作成する、ブックマークを変更するといった迷惑な手法を採用している広告ライブラリもあります。
 
シマンテックが最近実施した調査では、既知の広告ライブラリ 65 個のうち、半数以上がマッドウェアに分類できることが判明しました。マッドウェアを使うアプリの比率は、一貫して上昇傾向にあります。たとえば、Google Play で公開されたアプリのうちマッドウェアと見なすことができるものは、2010 年の 5% 未満から昨年には 23% に増えています。
 
では、グレイウェアに対してどのように対処すればいいのでしょうか。不正と見なされる境界線は越えていないため、通常、ウイルス対策企業はこれらを遮断することができません。App Store や Google Play のような公式のモバイルマーケットから、利用規約に反しているとして削除されるものもあります。
 
最大の防衛手段は知識です。PC ユーザーが、コンピュータにインストールするものに関して以前より用心深くなったように、スマートフォンユーザーも、ダウンロードする対象には注意し、アプリが求める許可も確認する必要があります。
 
スマートフォンを勝手に操作しようとするアプリを識別できるツールもいろいろと公開されています。たとえば、ノートン スポットは Android デバイスをスキャンして、スパム攻撃に利用される攻撃的な広告ライブラリを見つけ出し、関連するアプリを特定します。
 
 
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