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2013 年版『インターネットセキュリティ脅威レポート』で、サイバー犯罪者の戦術の変化が明らかに 

Apr 22, 2013 10:00 AM

2013 年版の『インターネットセキュリティ脅威レポート』では、世界 157 の国や地域から 6,900 万件を超える攻撃の検出情報をまとめ、脅威を取り巻く現状を明らかにしています。今回のレポートでは、標的型攻撃や小規模企業に対する攻撃の増加に加えて、新たな脅威も続々と登場していることを報告しています。

標的型攻撃、ハックティビズム、情報漏えい

標的型攻撃は 2012 年に 42 パーセントの増加を示し、1 日当たりの平均攻撃件数も 116 件に達しました。これはデータ窃盗や産業スパイ事例の増加傾向とも一致しています。攻撃の標的にも変化が見られるようで、これらの標的型攻撃のうち、小規模企業が占める比率が 2011 年に比べて大きくなりました。従業員数 250 人未満の企業を標的とする攻撃件数が全標的型攻撃のうち 31 パーセントと、前年の 3 倍に達しています。そうした小規模企業からも貴重なデータを盗み出せること、そして小規模企業の防御が貧弱であることに攻撃者が気付きはじめたのは明らかです。業種別に見ると製造業が最多となり、標的型攻撃の 24 パーセントを占めています。

標的型攻撃のなかでも顕著な変化が、「水飲み場」型攻撃の登場です。狙った標的がアクセスしそうな Web サイトを改ざんし、その Web サイトにアクセスした標的のコンピュータにマルウェアを侵入させるという手口です。この手口を首尾よく広めたのが「Elderwood」という名前で知られるグループで、わずか 1 日で 500 社もの企業が感染被害に遭いました。

情報漏えいの件数は 2012 年になって減少しましたが、盗み出された個人情報の数は逆に増加し、ほぼ 2 億 4,000 万件に達しています。盗み出された個人情報の大多数は医療や教育、政府機関に関連するものでした。また、外部からの攻撃による情報漏えいの報告数が大半を占める一方で、内部に原因のある攻撃のリスクも依然として無視できません。

脆弱性の悪用とツールキット

ゼロデイ脆弱性は 2012 年は 14 件に増加し、脆弱性の総数は 5,291 件に達しました。モバイル環境における脆弱性も増加し、2012 年には 416 件見つかりました。サイバー犯罪者は、これらの脆弱性を悪用して標的のセキュリティを危殆化するので、パッチや更新が定期的に適用されていない場合、特に無防備になります。新しい脆弱性が見つかるペースは鈍化しているにもかかわらず、攻撃が 30 パーセントも増加したのは、IT 部門におけるそうした怠慢が最大の理由でしょう。

技術的なスキルを持ち合わせていなくても、悪用ツールキットを使えば誰でもサイバー犯罪に手を染められるようになりました。過去に見つかった、ブラウザやプラグインの脆弱性を攻撃に利用できるからです。2012 年には、Web ベースの全攻撃のうち実に 41 パーセントを、Blackhole と呼ばれる悪用ツールキットが占めていました。

ソーシャルネットワーク、モバイル、クラウド

ソーシャルネットワークはスパムの新しい発信源です。ソーシャルメディアを利用した攻撃のうち、56 パーセントが偽の広告でした。ソーシャルネットワークサイトでは個人情報が公開されており、しかもリンクやデータが他のユーザーと共有される傾向も高いため、スパム行為がますます容易になっています。そのほか、マルウェアをインストールさせる偽の「いいね」ボタンや、ユーザーを欺いて偽のブラウザ拡張機能をダウンロードさせる手口も横行しています。

モバイル環境における脆弱性も増え、Apple 社の iOS だけでも 387 件が報告されました。一方 Android プラットフォームでは 13 件の脆弱性しか見つかっていませんが、市場シェアが大きいことやオープンプラットフォームであること、そしてアプリケーションの配布手段が複数あることから、モバイルを狙う脅威の大部分が Android デバイスを標的にしていることも事実です(163 件中 158 件、ただし、重複分はカウントせず)。全体で見ると、モバイルマルウェアは 2012 年に 58 パーセントも増加しています。

クラウドコンピューティングを導入する企業も増えており、全体的に見ればコスト削減とともにセキュリティが向上していますが、クラウドもセキュリティ上の問題と無縁ではありません。信頼性の高くないクラウドプロバイダからでさえ、データを引き出すことは簡単ではありませんが、そのようなプロバイダを攻撃すれば膨大な量のデータが手に入ることに攻撃者も気付いています。今後は、クラウドのインフラを支えている仮想マシンも攻撃されるようになると予測されます。

スパム、フィッシング、マルウェア

ソーシャルメディアを利用したスパムが増加し、司法当局がボットネットを取り締まるなかで、従来型のスパムは減少を続け、電子メールの総数に占める比率は 2011 年の 75 パーセントから 2012 年には 69 パーセントにまで下がりました。定番のコンテンツとしては、医薬品関連にかわってアダルト/セックス/出会い系のスパムが主流となり、スパム総数の 55 パーセントを占めています。減少しているとはいえ、日々送信されるスパムメールは依然として 300 億通を数えます。サイバー犯罪者の戦術上の変化は、電子メールによるフィッシングの減少にも表れており、電子メールの総数に対する比率は、2011 年の 299 通当たり 1 通から、414 通当たり 1 通へと減少しています。

マルウェアは、電子メール 291 通当たり 1 通の割合で発見され、そのうち 23 パーセントには、悪質なコードが埋め込まれた Web サイトにリンクする URL が記載されていました。Web ベースの攻撃は、毎日およそ 247,350 件が遮断されており、2011 年と比較して 30 パーセントも増加しています。また 2012 年は、Mac を明確に狙ったマルウェアが初めて大規模に拡散した年でもありました。Java の脆弱性を悪用した Flashback による攻撃では、60 万台以上もの Mac コンピュータが感染しました。Mac 固有の脅威の数は現在、全体に増加傾向にあります。そのほか、コンピュータをロックしたうえでユーザーに身代金の支払いを要求するランサムウェアなどの新しいマルウェア攻撃も登場しています。

脅威を取り巻く最新の現状について詳しくは、『インターネットセキュリティ脅威レポート』の全編を参照してください。

 

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