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血の匂いを嗅ぎつけて Bitcoin の窮地を狙う攻撃者 

Mar 10, 2014 06:36 AM

Bitcoin Woes 1.png

仮想通貨 Bitcoin は、この数週間というもの激しい動乱の時期を迎えています。Bitcoin のソフトウェアで新たに公表された脆弱性が攻撃者に集中的に狙われ、莫大な額が引き出されてしまったからです。これにより、かつて世界最大の Bitcoin 取引所だった Mt Gox は破綻に追い込まれ、多くの投資家がその預金を失いました。この盗難により Bitcoin の価値はいったん暴落しましたが、その後は大幅に回復しており、リスクがあるにもかかわらず投資家が依然として貪欲であることを示唆しています。とはいえ、ひとたび弱点が見つかれば攻撃者は徹底的にそこに群がり、根こそぎにしようとするということが、今回の一連の事件で明らかになったのは間違いありません。

事件の最初の兆候があったのは、Mt Gox が預金引き出しの停止を発表した 2 月 7 日のことです。Mt Gox は日本に拠点を置く交換所で、Bitcoin のソフトウェアに存在するバグの修正に取り組み中であり、預金引き出しのフローがその作業の支障になるためと説明していました。この時点では、何らかの問題があると思わせる要素はありませんでしたが、Mt Gox からの発表が Bitcoin の価値暴落の引き金になりました。これ以前には 800 ドル以上で取り引きされていた Bitcoin が、約 650 ドルにまで下落したのです。

このとき突かれたのは、「トランザクション展性」と呼ばれるバグです。攻撃者は、これを利用して取引情報を書き換え、実際には発生していた Bitcoin ウォレットへの送金を、なかったように見せかけることができます。トランザクションが正常に処理されなかったように見えるため、送金者を欺けば、Bitcoin を再送金させることも可能です。

それから数日のうちに、この問題は拡散します。脆弱性の悪用を狙った攻撃者が分散サービス拒否攻撃(DDoS)を仕掛けたため、さらに 2 カ所の Bitcoin 取引所が預金の引き出し停止を余儀なくされました。スロベニアに拠点を置く Bitstamp と、ブルガリアで営業している BTC-e の 2 つの取引所がともに攻撃を受け、どちらにもシステム全体の混乱を狙った不正なトランザクションが殺到しました。

Bitstamp と BTC-e は数日以内に平常営業に戻りましたが、Mt Gox はそうはいきませんでした。Mt Gox の預金の引き出し停止状態は 2 月 24 日まで続き、同日、取引が突然閉鎖されたのです。漏えいした社内文書によると、Mt Gox は大規模な窃盗の被害に遭い、数億ドル相当の通貨が盗み出されたものと思われます。

その 3 日後、Mt Gox は破産を申請し、5 億米ドル相当の通貨がシステムから盗み出されことを正式に認めました。同社の申し立てによると、Bitcoin のソフトウェアに存在するバグを悪用した攻撃者によって、顧客から預かっていた約 75 万枚、同社保有の 10 万枚の Bitcoin が盗まれたということです。

閉鎖後も、Mt Gox は依然として攻撃の標的になっていました。たとえば、利用者が盗まれた Bitcoin を同社が返金すると称する詐欺メールが早くも出回りました。この詐欺メールには、Bitcoin の返金請求方法についてのお知らせと称する動画へのリンクがあります。このリンクをクリックしたユーザーは、動画の再生に必要だとして Adobe Flash Player のインストールを促す Web サイトにリダイレクトされます。そこでインストールボタンをクリックすると、マルウェアが含まれている .rar 形式の圧縮ファイルがダウンロードされます。シマンテックは、このマルウェアを Trojan.Klovbot として検出します。

このフィッシング攻撃は、ある対象がいったん注目を集めたが最後、あたかも血の匂いに群がるサメのように攻撃者はあらゆる角度から悪用の可能性を検討して、実際に悪用しようとすることを示す格好の例です。

Bitcoin Woes 2.png

図 1: 攻撃後にいくぶん持ち直した Bitcoin の価値(出典: blockchain.info

こうした最近の攻撃も、Bitcoin が攻撃にさらされた初めての事件ではありません。昨年遅くには、一連の仮想銀行強盗によって、数百万ドル相当の通貨が盗まれています。しかし、Mt Gox の破綻は、これまででも最大級のセキュリティ侵害です。にもかかわらず、Bitcoin を求める投資家の熱は冷めていません。Mt Gox の取引中止が報じられた時点で、Bitcoin は 2 月 6 日時点の 800 ドルから、2 月 26 日には 528 ドルへと暴落しましたが、その後は復調し、現在では 630 ドル前後で取り引きされています。わずか 1 年前には 42 ドルで取り引きされていたことを考えると、Bitcoin に対する一定の熱は、今回の攻撃にもかかわらずまだ続きそうです。こうした楽観的な展望が、保証の限りでないことは言うまでもありません。

 

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