仮想環境におけるアプリケーションのアベイラビリティ

2008/09/09
概略 現在のデータセンターでは、サーバーの利用率を向上させ、サーバーのプロビジョニングを容易にするために、サーバー仮想化がますます一般的になっています。ただし、仮想化自体には課題が伴います。ここでは、データセンターにおけるアプリケーションのアベイラビリティを管理することが、仮想化によって改めて注目されている理由を説明します。
現在のデータセンターでは、サーバー仮想化がますます一般的になっています。サーバー仮想化を実装することによって、企業は複数のサーバー上に分散していたアプリケーション負荷を統合してより少ない数の物理ホストに集約でき、その結果、ハードウェアの使用率の向上、物理サーバーの台数の削減、大幅なコスト節約が可能になることに気が付きました。
ただし、仮想化自体には課題が伴います。 サーバー仮想化の登場前は、1 台の物理サーバーで障害が発生した場合、大抵は、単一のアプリケーションが停止するのみでした。対照的に、統合化が進んだ仮想サーバー環境では 1 台の物理サーバーが停止するだけで複数の仮想サーバーに影響を及ぼし、多くのビジネスクリティカルなアプリケーションがダウンする可能性があります。
このリスクを緩和するために、仮想化製品ベンダーは自社プラットフォーム専用のアベイラビリティツールを作成してきました。一般的に言って、それらのツールは企業が物理サーバーに期待するレベルの保護を提供できません。特に、そうしたツールは最も重要なコンポーネント、つまりアプリケーション自体の健全性を監視していません。

仮想化とディザスタリカバリ

シマンテックが最近実施したディザスタリカバリ調査によると、すべての企業のうち 55 % は、サーバー仮想化を実装した結果、ディザスタリカバリ (DR) の計画を再評価する必要に迫られました。北米企業の場合、数値はこれより高く、 64 % でした。これは、DR のプロビジョニングを迅速に行うためにサーバー仮想化を活用した結果もありますが、同時に、実働アプリケーションを仮想サーバー上に配置したために、企業が DR を実装する方法が変化したことに伴う結果でもあります。新しいツールとプロセスが必要であり、従業員の再トレーニングも必要となるでしょう。
しかし、物理サーバーのアーキテクチャから、統合化された仮想サーバーのアーキテクチャへ移行する際、アプリケーションのアベイラビリティに関して妥協すべきではありません。アプリケーションが依存するコンポーネントのいずれかが利用できなくなった場合、アプリケーションのアベイラビリティはリスクにさらされます。たとえば、ネットワーク障害はアプリケーションのアベイラビリティに影響を及ぼす可能性があります。同様に、アプリケーション内部でコンポーネントの障害が発生した場合も、アプリケーションのアベイラビリティに影響を及ぼしかねません。または、仮想サーバー自体がクラッシュした場合も、アプリケーションのダウンタイムが発生します。原因は何であれ、IT 部門はアプリケーションとその依存関係の健全性を監視し、停止が起きた場合は健全なサーバーにアプリケーションをインテリジェントに移動する方法を必要としています。
ところが、新しいサーバー仮想化プラットフォームを導入する場合は通常、仮想サーバー内にあるアプリケーションを保護するために新しいハイアベイラビリティインフラとディザスタリカバリインフラを導入することになります。ディザスタリカバリ調査によると、全回答者のうち 35 % は、物理環境と仮想環境の中にあるミッションクリティカルなデータとアプリケーションを保護する上で「各種ツールが多すぎる」ことが最大の課題であると回答しました。物理環境と仮想環境で各種ツールを維持する場合、高いトレーニングコスト、運用担当の対応不足、ソフトウェアコストの増大、縦割り構造の中で業務を行う従業員など、複雑さが新たに増大することになります。
さらに、現在の複雑なアプリケーションは多くの場合、物理環境と仮想環境の両方にまたがっています。たとえば、データベースはパフォーマンスとアベイラビリティが課題となるため、仮想プラットフォームからは外されがちです。その結果、アプリケーションのアベイラビリティを実現するために純粋な仮想プラットフォームベースのアプローチを導入することで、アプリケーションのコンポーネントは保護できるものの、アプリケーションが提供するサービス全体は保護できないことになります。

エンタープライズクラスのアベイラビリティ

現在のデータセンターに課されている要求を考慮すると、IT マネージャはリアクティブなリカバリ (事後対応) から、アプリケーションアベイラビリティのプロアクティブ (予防的) な管理に移行して、リソースを最大限に活用することが重要です。プロアクティブな管理とは、アプリケーションが危険にさらされる前にリスクを認識し、必要なときにアプリケーションを確実にフェールオーバーさせることを意味します。このようなソリューションは、以下の機能を実行できることが必要です。
  • 自動フェールオーバー ソリューションはアプリケーションの障害や、関連付けされたデータベース、オペレーティングシステム、ネットワーク、ストレージのリソースを含むアプリケーションの依存コンポーネントに関する障害を検出できるでしょうか。障害が検出された場合、ソリューションは適切な方法でアプリケーションをシャットダウンし、利用可能なサーバー上でそのアプリケーションを再起動し、適切なストレージデバイスにアプリケーションを接続し、通常の動作を再開させる能力を備えている必要があります。
  • 幅広いハードウェアとプラットフォームのサポート ソリューションは、UNIX、Windows、Linux、仮想プラットフォームを含む主要なオペレーティングシステムと、異機種混在の幅広いハードウェア構成をサポートできるでしょうか。複数のプラットフォーム間で同じソリューションを使うと、トレーニングと管理のコストを削減できます。
  • 自動的なディザスタリカバリテスト データセンターのサーバーとアプリケーションは常に変化しているので、システムまたはサイト全体の停止が発生した場合でもリカバリが成功することを保証するために、ディザスタリカバリ戦略を定期的にテストすることが不可欠です。ソリューションは、稼働中のアプリケーションに悪影響を及ぼさずに自動化テストを実行できるでしょうか。
  • マルチクラスタ管理とレポート 管理者は複数のプラットフォーム上に存在するマルチクラスタの監視、管理、レポートを単一のコンソールから実行できるでしょうか。ハイアベイラビリティインフラを容易に管理できるように、企業は、シンプルな GUI 、データセンター全体の可視性、向上計画のガイドとなるデータを提供する強力な報告ツールを備えたソリューションに注目する必要があります。
  • 高度な仮想化サポート ソリューションによって、動作中の移行ツールやワークロード分散ツールのような仮想化サーバー技術の高度な機能を企業が使用できるようになることが必要です。

まとめ

エンタープライズがデータセンター内にサーバー仮想化を実装し、1 台のサーバーごとに単一のアプリケーションというアーキテクチャから統合化された仮想化サーバー環境への移行を進めるにつれて、アプリケーションのアベイラビリティは以前より重要性を増しています。現在のビジネスクリティカルアプリケーションに関して、エンタープライズでは堅ろうで実証済みのソリューションが必要とされています。 物理的なサーバーの障害から保護されているだけではなく、個別の仮想サーバーやその上で稼働するアプリケーションも保護されていると、企業が確信できるものでなければなりません。

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