仮想環境向けのディザスタリカバリの再評価

2008/09/24
概略 英語の古いことわざがあります。 「計画に失敗するのは、失敗を計画するようなものだ」このことわざは、仮想サーバー環境でハイアベイラビリティとディザスタリカバリの要件を達成する上での課題にも当てはまります。

はじめに

英語の古いことわざがあります。 「計画に失敗するのは、失敗を計画するようなものだ」
このことわざは、仮想サーバー環境でハイアベイラビリティとディザスタリカバリ (HA/DR) の要件を達成する上での課題にも当てはまります。HA/DR はサーバー仮想化製品ベンダーにとってのコアコンピタンスではないことが 1 つの理由です。 ここでは、仮想環境の世界にあるミッションクリティカルなアプリケーションとデータに対して、物理環境で期待されるのと同じレベルの HA/DR による保護を得るために IT マネージャがすべきことについて説明します。

エンタープライズクラスの HA/DR

ミッションクリティカルなエンタープライズアプリケーションにとって、HA/DR の必要条件はどのようなものでしょうか。まず定義から始めましょう。
「ミッションクリティカルなアプリケーションとは、インシデントが発生した場合でもそれから 8 時間以内に動作させる必要があるアプリケーションを指します」と、シマンテックのシニアプロダクトマーケティングマネージャである Dan Lamorena は説明します。
Lamorena によると、HA/DR ソリューションを構築するための最初のステップは、ミッションクリティカルなアプリケーションのステータスを監視することです。 このことは、アプリケーションを監視することに加え、アプリケーションのコンポーネント、オペレーティングシステム、物理サーバー、ネットワーク接続、ストレージ接続、さらにデータセンター自体の健全性も含むアプリケーションの依存関係を監視することを意味します。
HA/DR ソリューションの次のステップは、アプリケーションの障害が発生したと判断されたときに、適切なアクションを実行することです。Lamorena は次のように説明しています。 「監視対象のコンポーネントのいずれかで障害が発生した場合、適切なアクションが自動的に実行されます。つまり、アプリケーションの担当者に停止の通知が送られ、リカバリプロセスが開始されます」
物理環境の世界では、IT 部門はハイアベイラビリティクラスタリングソフトウェアを使ってアプリケーションの監視と再起動を行い、エンドユーザーができるだけ早く通常の操作を続行できるようにします。ハリケーンのカトリーナのような最近の自然災害により、長距離を隔てた複数の拠点にまたがる HA/DR ソリューションの必要性が強調されました。自動アプリケーションフェールオーバーに加えて、組織はセカンダリサイトでデータを継続的に複製する必要もあります。
ミッションクリティカルなアプリケーションが物理環境と仮想環境のどちらで実行されているかにかかわりなく、引き続き、サービスレベルに関する厳しい基準が要求されています。つまり、仮想環境は IT チームに重要な新しい課題を提示しているのです。

仮想化による「ゲームの変化」

シマンテックが世界規模で毎年実施している「IT Disaster Recovery Survey」 (IT ディザスタリカバリ調査) の第 4 回では、「仮想化」が原因でディザスタリカバリ計画の再評価を実施する組織の数が増加していることが明らかになりました。この調査は 2008 年 8 月に発表されたものですが、全世界の回答者のうち半分以上 (北米では 64 %) が、仮想化が原因で自社の計画を再評価する必要に迫られていました。
この調査に関する報告書を作成した著者の 1 人の言葉によると、仮想化は管理と監視が必要なもう 1 つの技術階層を追加することにより、現在のディザスタリカバリに関する「ゲームを変化」させます。仮想化は新しい技術であり、多くの場合、アベイラビリティを提供するネーティブツールは未熟で、企業がこれまで期待してきたレベルの保護を実現していません。たとえば、これらのツールには、仮想サーバー上で動作しているアプリケーションの健全性を監視する基本的なアベイラビリティ機能がありません。
さらに、この調査では、仮想環境にあるアプリケーションとデータに関して「物理環境向けのアベイラビリティソリューションが仮想環境では動作しない可能性があることが原因で困難な課題が発生している」ということも判明しました。事実、複数の回答者は、仮想環境にあるミッションクリティカルなデータとアプリケーションを保護するために「物理環境と仮想環境で異なるツールを使っている」ことが最大の課題であると回答しました。
シマンテックの Lamorena は、次のように見ています。「(サーバー仮想化技術向けの) 新しい HA/DR インフラの構築は、従業員が縦割り構造の中で業務を行い、運用担当者の対応が不足する結果につながりかねません。なぜなら、従業員は、新たなツールを作成し、より多くの管理コンソールにログインし、複雑な IT 環境を把握することを学ばなくてはならないからです」

仮想環境向けの エンタープライズクラスの HA/DR

Lamorena によると、仮想サーバー環境向けの HA/DR ソリューションを選択する場合、IT 部門はその技術が特定の基準を満たしていることを保証する必要があります。ミッションクリティカルなアプリケーションを仮想サーバーに配置する場合、ソリューションは以下の基準を満たす必要があります。
  • アプリケーションと、仮想マシン、ネットワークコンポーネント、ストレージコンポーネント、物理サーバーのようなアプリケーションリソースを監視する
  • それらのリソースのいずれかで障害が発生した場合は、そのことを管理者に通知する
  • 再起動されたアプリケーションに対してユーザーを再接続することを含め、アプリケーションのリカバリと起動を自動化する
  • データを複製して距離を隔てたセカンダリサイトで自動的に起動することを含め、ディザスタリカバリの手順を統合する
これらの重要なコンポーネントがない限り、ミッションクリティカルなアプリケーションを保護できません。
シマンテックでは、仮想環境、リモートオフィス、サーバー、アプリケーション、データベースを含めた全体的な保護ソリューションを実装し、災害が発生した場合でも重要なデータとシステムを迅速にリカバリできるようにすることを推奨します。加えて、物理環境と仮想環境の両方を管理する単一の管理ツールへの統合を行うと、それらの環境で増加するツールをより簡単に管理できるようになります。

まとめ

現在、仮想環境に配備されるミッションクリティカルなデータとアプリケーションは増加しているので、組織は物理環境と仮想環境の両方でそれらを管理する、より効率的な方法を評価する必要があります。全体的なビジネス戦略の中に、包括的で実績ある HA/DR 計画も含める必要があります。この方針は最終的に、災害が万が一発生した場合でも、業務に及ぼす影響を最小限にして、アプリケーションとデータのリカバリを確実に成功させる上で役立ちます。