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バックアップのススメ
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もしデータのバックアップをしないとこうなる……最悪のシナリオ

企業間の取引や社内外の連絡、そして各種の財務・経理業務など、現在はあらゆるビジネスの活動がシステムを介して行われています。こうした状況の中で、データのバックアップはいまや企業にとって欠かせないものになっています。もし、システムに何らかの問題が起きた際に、各種のデータバックアップをとっていなければ事業の迅速な再開はもちろん、過去に蓄積されてきたあらゆる情報とノウハウが消失し、企業の存続さえも危ぶまれる危険性があります。今回はこのような問題が発生した時に、バックアップを行っていない場合、企業がどのような損失を被るのかを見ていくことにしましょう。

「データの消失」 =「 業務上の重要書類の消失」

現在の企業ではあらゆる業務においてITシステムが活用されているのは皆さんもご周知のとおりです。システムが利用されている範囲は、企業規模や業種にもよりますが、メールでのコミュニケーションやインターネットを使った情報収集、グループウェアによるスケジュール管理や情報共有、そしてファイルサーバーを使ったファイルの共有などはどこの会社でも一般的に行われています。

そして企業規模が大きくなるにつれ、会計や在庫管理をはじめとする各種の管理システムが必要となってきます。業種によっては生産管理システムや CRM(Customer Relationship Management:顧客との有効な関係を維持するための管理システム)、SCM(Supply Chain Management:パートナーや子会社との連携を含めて生産から販売までの業務を管理するシステム)、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)などを導入しているところも多くみられます。さらにECサイトを運営している企業では受発注のシステムが不可欠となり、企業規模が大きくなれば、ERP(Enterprise Resource Planning:経営資源の有効活用・経営の効率化を図るためのシステム)が必要とされるようになります。

企業は、このように様々なITシステムを活用して業務効率の向上、生産の向上を果たしてきました。これは言い換えれば、各種のシステムの依存度が高まったことを示しており、「システムの停止」=「業務の停止」につながる可能性が増大していることを表しています。また、業務上でペーパーレス化が進んだことからもわかるように、システム内に保存されたデータの大半は出力されないため、「データの消失」=「業務上の重要書類の消失」と同じ意味となるのです。共に企業にとって避けるべき問題ですが、後者においては会社の存続すら左右するという高い危険性を伴うものとなります。ここからはいくつかのシステムを例に挙げて、保存されたデータが消失した場合に、どのような被害が想定されるのかを考察してみましょう。

情報システムのデータの消失

現在、インターネットに接続しているほぼすべての企業が利用しているシステムの1つに電子メールが挙げられます。電子メールは、多数の人間に一度に情報が伝えられることやデータを添付できるという利点から、いまや電話よりも重要なコミュニケーションツールになっています。もし電子メールの機能を提供しているメールサーバーに保存された電子メールのデータが消失するとどのような問題がおきるのでしょうか。基本的な情報伝達から、見積書などのデータの送付、そして実際の契約や受発注業務までメールでやり取りされていることが多々見られます。その全てのデータが消えたら…。

 

メールシステムのデータが損失した場合の影響

リスクヘッジを基本とする現在の企業では、重要なやりとりは口約束ではなくメールでやりとりして証拠を残すのが基本となっています。メールのデータが消失すればそれらは全てなくなってしまい、約束を反故されても仕方ない状況に陥るといえます。また、企業によってはECの受発注業務をメールを受け口にしているところも少なくありません。それらのデータが消えれば、顧客への発送業務やフォローができなくなるため、信用低下や顧客の喪失が起きることも十分に考えられます。

さらに社員間における各種の報告や情報共有をすべてメールを介して実施しているというケースも少なくありません。また、どこからでも見られるという利便性を活用して、一時的な保存場所としてメールシステムを活用しているケースもあるでしょう。こうしたデータが全て消失した場合、さまざまな共有/報告事項、資料などがすべてなくなってしまいます。結果、業務に支障をきたしたり、資料の再作成が必要になったりと大幅な人的工数の増大が余儀なくされるのです。

■想定される被害

取引の履歴・共有事項などが消失し、損失が生じたり、業務に支障をきたしたりする

 

基幹系システムのデータの損失

上場企業に対して2009年3月期の決算より日本版SOX法(日本版企業改革法)が適用されるなど、国は企業が適正な取引を行っていることを証明するよう働きかけています。そしてこの流れは今後、中小企業にも及ぶと見れらており、会計システムの導入が不可欠となってくるでしょう。また、顧客に対して提供するものが、物品であれ、サービスであれ、在庫の管理は必ず必要となります。その在庫を効率化し、確実性を高めるために在庫管理システムを活用している企業は少なくありません。こうした企業の根幹を担っているシステムのデータが消失すればその被害は非常に大きなものとなるでしょう。

 

会社システムのデータが破壊された場合の影響

企業は支出を抑えて収益を増大させることで業績の向上を果たしていかなくてはなりません。そのためには日々発生する販売や売り上げという収益と、一方で発生する仕入れや人材に要するコストなどを的確に把握する必要があります。このようなあらゆる取引のデータを集計し、レポート/分析してくれたり、アラートを上げてくれたりする仕組みが会計システムによって実現されています。その会計システムのデータが失われた場合、大混乱がおきるのは明白です。特にシステムの規模が大きく、その依存度が高ければあらゆる財務データが消失し、経営がストップする可能性も考えられます。

また、業務停止までは陥らなくても、すべての取引の状況把握に始まり、現状の財務状況の分析などを手作業で実施しなくてはなりません。むしろシステムに慣れきった従業員が大半を占めている現状においては不可能ともいえる作業が発生することになります。

■想定される被害

財務データの消失による混乱、状況把握のための多大なコスト、経営のストップ

 

他社連携を前提としたシステムのデータ損失

企業では生産効率を追求し、協業する企業や子会社との連携する動きがますます盛んになっています。その代表的な例がSCMなどの連携を前提としたシステムです。また、現在のECサイトも在庫状況や価格設定などは、仕入れを行う他社と連携する仕組みが多く見られます。ECを運営している企業の基幹システムのデータが消失した場合、自社の業務の停止だけでなく取引における信用の失墜などが生じます。他社連携を前提としたシステムのデータ消失の悪影響は、想像を絶するものだといえます。

 

ミッションクリティカルなシステムのデータ消去の影響

SCMは原料の調達から、生産、販売までを担う各企業のシステムが連携し、発注が生じると即座に担当する企業に対して指令が出される仕組みとなっています。このSCMに係わるシステムのデータが破損した場合の影響範囲は、自社だけでなく全ての関係企業に波及します。その際に関係企業は、システムトラブルを起こした企業を見切って、新たな企業と取引を行うようになるため、トラブルを起こした企業は窮地に追い込まれることになるでしょう。

ECサイトにおいても同様で、自社の取引ができないことによる損失以外にも、顧客データや他社から預かった様々なデータを失うため、事業再開の目処はたたなくなります。場合によっては、業務停止に基づいて賠償責任を求められるケースも存在するかもしれません。

■想定される被害

ビジネス / 取引の停止、社会的信用の失墜、賠償責任など

 

データ復旧期限の算出がバックアップの基礎

ここまでに述べてきたようにデータの損失・消失は、企業にとって確実に悪影響を及ぼす要素であるため、バックアップは必須の存在となっています。とはいえ、データのバックアップ方法は様々であり、システムの重要度によって投資の金額や方法も変えなくてはなりません。そこでバックアップを実施する際に算出すると効果的なのが、業務が再開するためにどの時点まで遡ってデータを復旧させるかを算出するRPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)と呼ばれるものです。

RPOでは、システムに応じてリアルタイム(問題がおきる直前)のデータが必要なるのか、もしくは1日や1週間といった定期的なバックアップで問題ないかを定義づけ、それに応じたバックアップの実施策を策定します。例えば、メールシステムであれば「1日単位でバックアップしていれば何とか業務の復旧可能である」とか、SCMやECサイトのデータであれば「秒単位のデータ破損でも影響範囲が非常に大きいためリアルタイムバックアップを実施しなくてはならない」という具合です。このRPOを的確に算出することによって、コスト負担を極小化し、かつ堅牢性の高いバックアップ体制構築に向けた基礎作りが可能になるのです。今回はデータバックアップの必要性について述べてきましたが、次回は企業が怠りがちなシステムバックアップの重要性について見ていくことにしましょう。

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