バックアップの最新事情レポート「仮想化環境でのバックアップ」
現在、システムの安定化、効率化を図る手法として仮想化技術が積極的に採用されてきている。仮想化とは、1つの高性能なサーバーに搭載されるCPUやメモリ、ストレージといったハードウェア上に複数のOSを搭載・稼動させたり、反対に複数のサーバーのハードウェアリソースを仮想的に1台の大きなリソースと見立てたてて利用したりするシステムの構成方法です。今回は企業での導入が進む仮想化のメリット/デメリットと、そのバックアップの注意点についてみていくことにしましょう。
積極的に採用される仮想化技術の現状
現在のエンタープライズコンピューティングにおいて、仮想化技術を導入する動きが強まっています。ITメディアが2009年2月に行った「TechTargetジャパン会員調査リポート ~サーバ仮想化技術/ツールの利用状況に関するアンケート調査~」を見ると、プロトタイプ運用を含めて回答者の43.6%がサーバー仮想化技術/ツールを導入しており、かつ回答者の42.6%が今後サーバー仮想化技術/ツール導入(入れ替え)を検討しているという結果が出ています。
出典:TechTargetジャパン「サーバ仮想化技術/ツールの利用状況に関するアンケート調査」より
2009年2月15日~2月27日実施 / 有効回答数:427件
参考記事:サーバ仮想化で物理サーバ統合進むも「運用管理コストは……」
企業がこのように仮想化を積極的に導入する理由はどのようなところにあるのでしょうか? 仮想化を導入する理由として最も大きいのが、サーバー統合の用途です。企業では安価に導入できるx86サーバー(PCサーバー)を利用して、部門ごとや業務ごとに多数のサーバーを構築してきました。安価であり手軽に構築できることが利点であったx86サーバーですが、管理しきれないほどに数が増殖した結果、運用面では手間・コスト共に当初の想定をはるかに上回るものとなってしまっていました。そこで注目が集まったのがこれらのサーバーの機能を統合するための仮想化の技術なのです。
仮想化の最大のメリットはサーバー統合
仮想化技術を使うことによって、物理的には1台のサーバーの上で混在する複数のOSやさまざまなアプリケーションを動作させることが可能になります。つまり複数のサーバーを運用しても、管理するハードウェアは1つでよいため、運用効率は飛躍的に向上することになります。また、仮想化ではハードウェアに依存しにくい環境でOSやアプリケーションを稼動できるので、システムの移動やコピー、リプレースなども比較的容易にできる利点があります。
さらに、ハードウェア資源の効率的運用という面でもメリットが生まれます。実は企業内に存在する多数のサーバーのうち、フル稼働しているのはごくわずかであり、大半のサーバーの稼働率は10%程度というケースは珍しくありません。例えば、社員全員が使うグループウェアは常に高負荷の状態にあるにもかかわらず、営業部門のファイルサーバーはほとんど利用されていないケースや、経理システムでは月末に極端に負荷高まるものの、月初~中ごろまではほとんど負荷がないといったケースがあります。特に後者のように時期変動があるケースでは、ピーク時に合わせて設計する必要があります。このためシステムは大掛かりになるものの稼働率の低い大半の時期はリソースを無駄に遊ばせている状況にあるのです。
しかし、仮想化技術を用いてサーバーを統合し、負荷の高いシステムと低いシステムを1つのハードウェア上に載せることによって、負荷に応じてリソース配分を調節したり、時期によりピークとなる状況を想定し、あらかじめリソースを割り当てたりすることが可能なります。これにより無駄な投資を最小限に抑えたシステム構築と、ピーク時にも高負荷にならず高いサービスレベルをユーザーに提供できるようになるのです。
先ほどのITメディアのレポートを見ても、実際に仮想化技術を導入した企業は、サーバー統合やリソースの有効活用を目的として導入しています。また、パフォーマンスや安定性において8割近くが満足いく結果となったと出ています。さらに上記以外の成果として、設置スペース・消費電力の削減やサーバー保守費用の削減、バックアップ/リカバリ体制の確立などもメリットとして生まれている状況にあるようです。
出典:TechTargetジャパン「サーバ仮想化技術/ツールの利用状況に関するアンケート調査」より
2009年2月15日~2月27日実施 / 有効回答数:427件
参考記事:サーバ仮想化で物理サーバ統合進むも「運用管理コストは……」
仮想化のバックアップは注意が必要!
一方、仮想化のデメリットはどのようなところにあるのでしょうか? 大きなポイントになるのが管理の複雑化です。システムの管理に仮想技術という新たなレイヤーが加わると共に、従来は1対1だったOSとハードウェアの関係が1対nになります。これによりハードウェアの管理が容易になる反面、ソフトウェアの管理が複雑化する可能性があります。また、仮想化によってハードウェアを増設せずともシステムの増築が可能になることで、これまでよりもさらに手軽にシステムを構築できるようになり、管理するシステムの数がいままで以上に増えることも想定されます。
バックアップにおいてもストレージを丸ごと実施するハードウェアベースのバックアップのほかに、仮想化の基盤となるホストOSごとにバックアップする方法や、仮想化環境上のゲストOS単位でバックアップする方法など、従来と異なるバックアップ方法を実施する必要があります。このため、あらかじめ用途に合わせたバックアップ方法を決めておかなくてはなりません。
例えば、複数のシステムを仮想化技術によって1台のマシンに統合した場合、アプリケーションごとにバックアップのタイミングが異なってきます。ハードウェアベースでストレージを丸ごとバックアップしたいと思っていても、毎日バックアップを実施していたシステムと1週間に1度のバックアップの頻度でよいシステムが混載されていた場合、1週間に一度のケースのバックアップにおいて無駄なストレージの消費がされてしまうことになります。 こうした無駄を防ぐためには、システムのリソース配分などに加えて、バックアップの頻度や手法なども構築する際の検討事項としておくことが必要となるでしょう。
データ圧縮の仕組みを簡略化して説明すると、データを圧縮する際には同じ要素を持ったデータを1つのデータとして格納し、解凍時にそれを再び元のデータに戻すという作業が基本になっています。このため、同じような構造のデータが多々存在するケースでは、高い圧縮率が実現できます。たとえばDBに格納されたデータなどはテキストデータが中心となりますので、効率的な圧縮が可能になります。
エージェントを利用するのが仮想化では有効!?
仮想化環境におけるバックアップはさらに複雑化することが予想されます。このため、効率的なバックアップに実現するためには、これまで以上にバックアップツールの存在が重要になってきます。仮想化環境のバックアップはよく利用される代表的な手法として2つの方法があります。1つはゲストOS単位で丸ごとバックアップする方法、もう1つがゲストOS上のファイル単位や、アプリケーション毎にバックアップを実施する方法です。
一方、ゲストOS上のファイル単位や、アプリケーション毎に実施する方式では、従来のシステム単位で実施するのと近いものとなり、差分バックアップや増分バックアップなど柔軟なバックアップを実施できます。異なるのは、仮想化環境を実現するソフトウェア自身もバックアップする必要があること。もう1つが仮想環境下のそれぞれシステムのバックアップを実施する際にハードウェアリソースを消費するため、他のシステムに影響を及ぼさないようにバックアップのスケジューリングにきめ細かに配慮する必要があることです。また、手軽にシステムを増設できる分、管理の複雑化が進みやすいことや、バックアップソフトウェアのライセンスにも従来以上に気をつけなくてはなりません。
こうした環境を効率化するためには、バックアップソフトの仮想化専用のソリューションを利用するのが有効です。例えば、Symantec Backup Execに用意された仮想化用エージェントを利用すると、物理的なシステムとその上で稼動する仮想的なシステムが単一のコンソールからまとめて管理・バックアップできるようになります。これにより複雑化しがちな仮想化環境でのバックアップが非常に容易に実現できるようになります。しかも、Symantec Backup Execの仮想化用エージェントのライセスは物理的なサーバーのホスト単位で利用できるため、仮想化されたシステムの上で稼動している複数のOSの保護が1つのライセンスで実施できるため、コスト的にも負担が少ないといえるでしょう。
なお、Symantec Backup Execでは、現在の仮想環境の主流となっているVMwareとWindows Virtual Serverの両方に対応したエージェントが用意されています。この仮想化において、Oracle や SQL Server、Exchange Serverなどに対応するエージェントと組み合わせれば、仮想サーバー上のデータベースをオンラインバックアップも可能となります。汎用的なシステムの仮想化だけでなく、ミッションクリティカルなシステムでの仮想化も実施できるようになるのです。


