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バックアップのススメ
バックアップを知る事で、突然のシステムダウン、サーバークラッシュも慌てない!

「さらに一歩進んだ高度なバックアップ」

有事の際のビジネス継続性を担保するために、システムのバックアップにはRPO(Recovery Point Objective:リカバリポイント目標)とRTO(Recovery Time Objective:リカバリタイム目標)の短縮が求められています。それを実現するための方法として、本連載ではD2D2TバックアップやCDP(Continuous Data Protection)などさまざまな技術について触れてきました。最終回となる今回は、RTO/RPOの短縮を実現しながらも、コストダウンや利便性の向上を実現する新たなテクノロジについてみていくことにしましょう。

既存のバックアップ環境のコスト削減がカギ

ビジネスにおけるシステムの重要性が増すと共に、バックアップに求められる要件も高度になってきています。しかしバックアップは、高度なことを実現しようとすれば膨大なコストがかかるのも実情です。たとえば遠隔地でのバックアップを実現するディザスタリカバリを実施するとなると、別途データセンターを用意すると共に、そのデータセンターとバックアップ対象となるシステムを結ぶネットワークが必要となります。また、高速なバックアップ環境を実現するためにSANを構築するとなると、ファイバーチャネルカードや専用のスイッチが必要となるなど、導入コストも大幅に増加します。つまり、コストダウンと高度なバックアップ環境の構築はトレードオフの関係にあるといえるでしょう。

しかしバックアップはいざというときに備えるものであるため、現在のような厳しい経営状況において、投資が必要とわかっていても大幅なコスト増は厳しいのが実情です。そこで求められているのが既存のバックアップ環境のコスト削減となります。たとえばストレージの消費を抑えたり、システムの負荷を抑えたりすることができれば、ハードウェアリソースに必要としていたコストをほかのバックアップへの投資に回すことができます。また、バックアップに要する管理者の労力が削減されれば、その分新たな分野への人的リソースの割り当てが可能になります。そこで現在、効率的な投資を実現する新たなテクノロジに注目が集まっているのです。

フルバックアップの回数を少なくする「合成バックアップ」

劇的にデータが増え続けている現状における課題、それはストレージ消費量の増加のほかに、バックアップに要する時間とネットワークやサーバーに与える負荷が増大していることがあげられます。これらの課題を解消するには、ハードウェアやネットワーク環境の強化がもっとも有効な策となります。ただ、そこには多大なコストが伴います。そこで必要とされているのが、効率的にバックアップデータを転送し、かつストレージ消費を最小限に抑える技術です。

バックアップデータの削減や効率的なデータ転送を実施するための策は、以前の連載で紹介した圧縮技術、増分・差分バックアップとなりますが、より進んだソリューションとして合成バックアップと呼ばれる技術が用いられるようになってきました。この合成バックアップでは、一度フルバックアップを実行した後に変更・追加したデータをバックアップする増分バックアップの進化版ともいえる存在で、複数の増分バックアップから、最新のフルバックアップを生成する技術となります。

具体的には、1つのフルバックアップのイメージを保存して、その後は増分バックアップを実施しますが、この増分のファイルを当初はハードディスク内に保存しておき、夜間などサーバーのCPUやネットワークが低負荷の状況になると、増分ファイルをテープなどの長期保存するメディアに移します。さらにテープに保存する際に、増分バックアップのデータを最初のフルバックアップのイメージと合成することによって、最新の状態のバックアップデータを作るのです。合成バックアップは、増分バックアップの特性である最小限のデータ転送量を実現し、バックアップウィンドウの短縮化を果たしながらも、リカバリは迅速に行えるというメリットを生み出すのです。

オフホストバックアップでバックアップによるダウンタイムを回避

データが増加し、バックアップに要する時間が長くなれば、バックアップのためのダウンタイム(バックアップウィンドウ)が長くなります。特にリアルタイムでの更新が求められるデータベースのバックアップにおいては、データの整合性を確保するために、サービスの停止が求められます。サービスの停止は、生産性の低下につながるため、バックアップウィンドウの問題は、なんとしても解決すべき事項だといえます。

こうしたバックアップウィンドウの短縮を実現するための手法として有用視されているのは、オフホストバックアップと呼ばれる技術です。同技術は、シマンテックの「Backup Exec」に実装されていますが、これはバックアップ対象となるサーバー上でバックアップ処理をするのではなく、バックアップ専用のサーバー上で処理を行うものです。

オフホストバックアップでは、データのバックアップにはディスクを瞬間的に複製してバックアップするスナップショット技術を利用します。このため、バックアップ対象となるサーバー上のアプリケーションを停止する必要はありません。実質的にはバックアップウィンドウをゼロにできるのです。また、オフホストバックアップは、マイクロソフトのWindows Serverに搭載されたVSS(Volume Shadow Copy Service)と呼ばれるスナップショット技術を利用しているので、整合性の高いバックアップが可能となっています。

オフホストバックアップは、「バックアップのためのサーバー停止頻度と時間が増加している」「データ量が増大してしまって現在のバックアップの方法では時間がかかりすぎている」「実際に運用しているサーバーでバックアップしているが負荷が高すぎる」といった様々な課題を、比較的低コストで解消するのに有効なソリューションといえるでしょう。

クロスプラットフォームや仮想化への対応が管理コストを削減

バックアップにおけるもうひとつの課題が、システム管理者への負荷です。バックアップソリューションの充実により、以前と比較するとだいぶと低減されましたが、バックアップデータの量や対象が増え続けている状況では、設定やメンテナンスに多くの時間を費やしています。また、バックアップの対象となるサーバーのプラットフォームを見ても、仮想化環境が定着した現在においては、さまざまなOSを使い分けるケースが多く、これも管理者の負荷を増大させる一因となっています。

このような課題を解決するためには、高度な管理機能かつ、クロスプラットフォームに対応したバックアップソリューションが有効となります。その代表例としては、シマンテックのBackup Execが挙げられます。同製品は、様々なエージェントオプションが用意されており、システム構成に応じて的確かつ効率的なバックアップを可能にしているからです。

まず仮想化環境では、現在の仮想化システムの主流となっているVMwareの「VMware Virtual Infrastructures」とマイクロソフトの「Virtual Servers」のエージェントを用意しています。これにより仮想化環境のバックアップに必要とされる複数の仮想ゲストのバックアップのスケジューリングと実施が可能になります。また、一度イメージレベルのバックアップを実施することで、個々のファイルやフォルダをよりすばやくリカバリできます。これによりディザスタリカバリのためのOSのイメージバックアップおよびリストアと、データ破損の際のデータのリカバリの両方を一度のバックアップで実現することができ、バックアップのための時間とディスク容量が不要になるというメリットもあるのです。

一方、クロスプラットフォームにおいても、Windowsへの標準対応はもちろんのこと、Linux/UNIX Server リモートエージェントやMac Server リモートエージェントも用意されています。様々なプラットフォームが混在する環境においても万全のバックアップ体制が構築できるほか、Linux Server リモートメディアエージェントなどを利用すればこうした環境化においてもオフホストバックアップなども利用できるようになります。さらに、Central Admin Server オプションを利用することで、ネットワーク上に存在する多数のBackup Execメディアサーバーを一元管理できるようになるため、大規模環境における管理者の負荷を軽減することができるのです。

現在のような複雑化したシステム環境化において、バックアップに求められる要望はさらに高まってきています。このためバックアップソリューションを選ぶ際には、個々の機能はもちろんですが、拡張性や管理機能などにも配慮して、製品を選択することが重要になってきます。現状のシステムを「とりあえずバックアップすればよい」のではなく、将来的なシステム拡張までを考慮して製品選定・導入することで、長期的なトータルコストの削減が実現できるといえるでしょう。

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