最適なバックアップデバイスを選択せよ!
あなたの会社ではシステムのバックアップにどのようなメディアやデバイスを利用されているでしょうか? 業務の電子化がますます加速する中で、システムが保持しているバックアップすべきデータは膨大なものとなっています。こうした大量データを保存しておくためには、低コストかつ信頼性の高いメディアが必要となります。このバックアップメディアもハードディスクのほかに、テープ、光メディアなどさまざまな種類が存在しますが、それぞれに短所と長所があるため、システムの状態に合わせて最適なものを選ぶ必要があるのです。
限りなく増え続けるバックアップデータ
現在、あなたの会社ではバックアップを必要とするデータ量がどのくらいか正確に把握できているでしょうか? 大半の企業は難しい状態にあるでしょう。これは現在の日常業務のほとんどが電子化された環境で行われていることに起因しています。また、上場企業は2008年度4月以降の決算より日本版SOX法への対応が必須となりました。このため、これまで紙で行っていた業務の電子化し、公正性を担保する必要が生まれたことも、確実に保持しなくてはならないデータを増やす結果につながっています。そして同様の流れは、上場企業以外にも広がっていくと推測されるため、さらにバックアップすべきデータ量は増えていくのです。
それでは、その日常業務の中でどのようなデータがバックアップを必要とするかを見ることで、500人程度の社員がいる一般的な企業がバックアップを要するデータを抱えているかシミュレートしていくことにしましょう。
企業がバックアップを絶対にしなくてはならないデータの1つが基幹系システムのデータになります。基幹系システムには、販売、在庫管理、財務などのデータや、顧客データなどがこれに該当します。この基幹系システムのデータは業種や取り扱っている商材によって大きく変わりますが、少なくても数百GB(ギガバイト)、多い場合には数十TB(テラバイト)に及ぶでしょう。このバックアップを日常的に実施してくためには、同量以上のバックアップストレージが必要となるのです。
次に必要となるのが、メールなどのメッセージング系のデータです。いまやメールは各種の連絡以外に、見積書や設計図など書類・図面の送受信にも利用されます。個人差はありますが、一人のユーザーが1日にやり取りするメールのデータ量を2MB(メガバイト)程度と想定すると、500人の企業ではデータは1日1GBづつ増えていき、年間で365GBのバックアップデータが必要となります。また、情報共有のためのファイルサーバーやグループウェアなどにおかれるデータも1人が1日で数MBを消費するケースも少なくありません。その場合には、年間では数百GB~数TBものデータが蓄積されていきます。
このほかインターネットでECや顧客向けのサービスなどを展開している場合には、各種のトランザクションのログやアクセス解析用ログ、商品データベースやユーザーの個人情報などをバックアップしておく必要があり、こちらも数百GBから数TBに及ぶことは珍しくありません。このようなバックアップが必要となる様々なデータを保持しておくためには、最低でも数TB、多ければ数百TBという膨大なバックアップデバイスが必要となるのです。
バックアップメディアは大きく分けて3タイプ
このような大容量のデータを保存しておくバックアップデバイスやバックアップメディアにはどのようなものがあるのでしょうか。大きく分けると、ハードディスク、テープ、そして光メディアの3つとなります。それぞれに長所と短所があるので見ていくことにしましょう。なお、メディア選定のポイントとしては、コスト以外にも、データの転送速度と信頼性が重要になります。また、災害などに備えて別の場所で保存する場合には可搬性といった部分も検討していく必要があります。
ハードディスクは、高速なデータ転送ができる特徴があるため、データベースのオンラインバックアップなどに適してたデバイスだといえます。また、ランダムアクセスを得意とするため、特定のデータをリカバリしたい場合なども迅速に行えるというメリットがあります。半面、ほかのデバイスと比較すると容量あたりの単価が高い点や、地震などの衝撃などに弱い点、そして可搬性にはあまり優れていないというデメリットがあります。とはいえ、大容量化と容量あたりのコストの低下が進んだことで、以前よりハードルが下がっており、D2D(Disk to Disk)と呼ばれるようなハードディスクのみでバックアップシステムを構成するケースも増えてきています。
光ディスクは一般的に広く使用されているDVDなどのメディアをバックアップに利用するものです。メリットは、手に入れやすさとメディアの安さ、メディアの劣化などが起きにくい耐久性の高さ、そして可搬性が高い点です。デメリットとしては一枚あたりの容量が少ないことため大容量のシステムになると割高になること、読み書きが高速でないことです。大量のデータをバックアップするために光メディアを数百枚格納できるライブラリと呼ばれるシステムが存在します。大容量のデータをバックアップする際にはこうしたシステムを利用します。
テープは以前よりバックアップに多用されてきたメディアで、メリットはメディアの容量あたりの単価が安い点や容量が大きい点、そして可搬性に優れている点です。一方デメリットとしては、ランダムアクセスに不向きな点や湿気や高温に弱いことから保管に気を配る必要がある点、そして規格や機種によってはデータ転送速度が遅い点となります。ただ、最新の機種ではRAIDシステムにも匹敵するような180MB/秒というような高速なデータ転送ができる製品も登場してきており、テープだからディスクよりも絶対的に遅いということはなくなってきています。
最適なバックアップメディアの組み合わせとは
ここまでで紹介した3つのメディアがどのようなケースで有用なのかを見ていきましょう。まずハードディスクを利用する場合には、リアルタイムでデータを同期するオンラインバックアップが最も適した使い方になります。動作しているサーバーをRAIDシステムとつなぐことによってリアルタイムでのデータのバックアップを可能にできるほか、ネットワークストレージを利用すれば遠隔地でのバックアップも可能となり、対災害性も向上できます。この場合にはシステムも大規模となり、高額な投資が必要となるのでバックアップの対象はすべてのシステムではなく、ダウンタイムの極小化が求められるミッションクリティカルが求められる基幹系システムなどを対象にするのがよいでしょう。
光ディスクは手軽にバックアップが取れ、またリカバリにおいてもほとんどのシステムに標準搭載されているDVDドライブを使って読み出せる点が、最大のメリットとなります。一方で書き込み速度などは遅く、1枚あたりの容量も限られるので、頻繁にバックアップを実施するケースには向いていません。こうした特性を考慮するとOSなどのシステムに変更を加えた際にバックアップを実施するケースや、重要度がそこまで高くないシステムのバックアップに適しているといえるでしょう。
テープを使ったバックアップの場合には、メディアが大容量かつ安価であるというメリットを生かして、長期的に保存しておくべきデータをバックアップする用途が適しています。現在、DLT(Digital Linear Tape)やSDLT(Super DLT)、そしてLTO(Liner Tape Open)という規格が主流となっていますが、いずれも最新のものは数千円のテープ一本で300~800GBもの大容量に対応しています。また、数十本のテープが格納できるライブラリシステムを利用すれば、数十TBのデータが保存できるようになります。これはデータを多く扱う企業でも、1年分のデータをノーメンテナンスで保管できるほどの容量を実現しているのです。
さて、これらのメディアの組み合わせでシステムのバックアップを実施する場合の最適解はどのような構成になるのでしょうか? その答えの1つがD2D2T(Disk to Disk to Tape)と呼ばれる手法になります。これは一次のバックアップをハードディスクを用いて行い、そのバックアップされたデータの中で長期保管する必要のあるものをテープでバックアップするという方法です。
この方法であれば、リアルタイムでのデータバックアップを可能にするとともに、長期の保存は容量あたりの単価が低いテープで実施できるようになります。また、リカバリーもハードディスクから実施するので迅速な復旧が実現できるのに加え、バックアップデータを別の場所で保管しておけば耐障害性も向上できるというメリットが生まれます。もちろんハードディスクとテープ、両方のデバイスを用意しなくてはならないので、イニシアルコストは上がります。しかし、単独のメディアでの運用と比較して、ランニングコストの削減や信頼性の向上、さらには速度面においても圧倒的な効果を得られるので、D2D2Tが現在の中では最も優れたバックアップソリューションとして利用されているのです。


