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バックアップのススメ
バックアップを知る事で、突然のシステムダウン、サーバークラッシュも慌てない!

バックアップ構成はどうしたらよいの? 基礎編

過去の連載では、バックアップの方式やメディアの選定方法について解説してきました。今回からは2回にわたって、システムの規模に合わせたバックアップ構成の選び方について解説していきます。1回目となる今回は、バックアップ構成に関する基本についてレクチャーします。また、見逃されがちなクライアントマシンのバックアップ事情についても探っていくことにしましょう。

スタンドアロンのバックアップはすべての基本だが...

バックアップ構成の中で最も基本かつ、単純な構成となるのがスタンドアロンと呼ばれる単体でのバックアップシステムとなります。このスタンドアロンは、プライベートで利用しているPCから特定のデータを別の場所に保管する場合の方法に近いものとなります。例えば、皆さんがデジタルカメラで撮影した写真をバックアップする場合どうするでしょうか? PCに備え付けられている書き込み用のDVDを使ってDVD-Rなどに書き込んだり、外付けのハードディスクをUSBで接続して、データをコピーするという手法をとるケースも多いでしょう。

これをサーバーで実施するのが、スタンドアロン型のバックアップになります。サーバー系のシステムでは、バックアップ対象となるサーバーと、テープデバイスやRAIDなどのバックアップデバイスを常時的に接続し、バックアップを実施します。バックアップソフトを使う場合には、スケジューリング機能が備わっているため、定期的なバックアップにも対応できます。

スタンドアロンタイプのメリットは、なんといってもイニシアルコストが低く抑えられる点です。DVD-Rでバックアップを実施する場合には、書き込みができるDVDドライブと数百円のメディアを用意するだけです。また、外付けのRAIDシステムやテープドライブも大容量な製品が安価で手に入るようになりました。バックアップをすべきサーバーが1台という場合には、RTOやRPOも高度なものが求められる可能性は低いのでこの構成で十分に機能するでしょう。

デメリットとしては、システムの規模が大きくなるにつれて管理に要する工数/コストともに急速に増大してしまう点と、災害などが起きた場合に非常に脆弱な点が挙げられます。前者においては、バックアップすべきサーバーが増えたらその度にバックアップデバイスを増やしていく必要があるため、イニシャルコストはサーバーに対して1:1(複数機器からのバックアップに対応した機器も存在はしています)で上昇していきます。また、ランニングコストにおいても1台のサーバーに対して1つのバックアップデバイスを配置した場合、複数のサーバーで1つの共有するのに対してストレージの利用効率が悪いものとなります。管理面で見ても1台1台のストレージを個別に管理する必要があるため、多大な無駄を生む結果となるのです。

後者の災害に対する脆弱性は、直接接続しているが故に火災などの災害が起きた場合にシステムと共にバックアップしたデータまでが消失してしまう危険度が高いことに起因しています。テープやディスクなどのリムーバブルメディアであれば他の場所で保管することもできますが、その場合には管理が面倒な上、復旧する場合にも迅速に対応できなくなるでしょう。このようにスタンドアロン型のバックアップシステムは多数のシステムが稼動している現在の環境ではあまり現実的な選択肢とはいえないのです。

集中管理を実現するクライアント・サーバー型

次に紹介する方式はクライアント/サーバー型のバックアップシステムです。こちらはネットワークを介したバックアップの基礎ともいえるものです。クライアント/サーバー型のシステムでは、バックアップデータを集中管理するバックアップサーバーを用意し、各種のバックアップデータがそこに接続されたストレージに集約されるものとなります。この方式のメリットは、スタンドアロンと比較して管理が容易であることや、バックアップデバイスの利用効率がよいことが挙げられます。まず管理面においては、バックアップサーバーを介して集中管理できるため、スケジューリングさえしっかりしておけば複数のサーバーのバックアップも手間なく実施できます。バックアップデバイスの使用効率についても、バックアップサーバーのみで管理・増設していけばよいので、1つのデバイスを効率よく利用できるというメリットがあります。

一方のデメリットについては、スタンドアロンと比較するとバックアップサーバーの初期導入コストがかかる点が挙げられます。また、ネットワークの帯域を消費する可能性もあるため、旧式のネットワーク環境であれば見直す必要があるかもしれません。このほか同じビル内などでバックアップのシステムが完結している場合、対災害性においてもスタンドアロンとさほど大きな違いはありません。

しかし、機器の低価格化が進む中、イニシアルコストを気にするよりも管理コストを削減するほうがトータルコストの削減につながることは明確になってきています。そのことから考えても初めてバックアップを実施するケースでもクライアント/サーバー型のようなネットワークを介した環境を構築するのが、良策だといえるでしょう。

見過ごされがちなクライアントマシンのバックアップ

クライアント/サーバー型のようなネットワークを介したバックアップのシステムは日々進化を遂げており、SANやNASと呼ばれる専門的に特化したネットワークストレージを利用するケースも増えています。ただ、今回はクライアント・サーバー型のバックアップの話をしたので、大規模システムの話をするのではなく、ついつい見過ごしがちなクライアントのバックアップについて見ていくことにしましょう。

皆さんはクライアントマシンのバックアップをどのように実施されているでしょうか? 話を聞くと「重要なファイルはファイルサーバーに入れる決まりになっているので、何も実施していない」というケースも多いようです。確かにクライアントマシンはサーバーと比較してRTO、RPO共に低いものではあります。だからといってバックアップを怠っているとさまざまな問題が生じるのが実情です。

例えば、社内のクライアントマシンの多くが新種のウイルスに感染し、OSが起動できなくなったら…どうでしょうか? まず、ウイルスに感染したクライアントマシンを利用している人の業務はすべて停止します。その際に、クライアントのバックアップを実施していたならば、バックアップデータを元に復旧すれば作業が進められるのでダウンタイムや損失はそのストップしていた時間のみにとどまります。一方、バックアップをしていなければOSのインストールに始まり、OSのアップデートやアプリケーションのインストールを実施するという作業が必要になります。しかも、ローカルに保存されているデータは復元できないので作業がやり直しになったり、消失してはいけないデータが消失してしまったりと様々な問題が起きるのです。

また、ハードウェア障害が起きてクライアントマシンが故障した場合でも、クライアントバックアップを実施していれば、代替機に環境を移せば迅速な復旧が可能になります。システム管理者側の負担や労力も減りますし、クライアントマシンのユーザーも無駄な時間を過ごさずに済むため、人的コストの削減にもつながるというわけです。見過ごされがちなクライアントマシンのバックアップですが、このように有事を考えれば十分にリスクヘッジの効果があるため、ユーザー数が多ければ多いほど実施しておく必要があるのです。

ただ、サーバーの管理で手一杯の管理者がそこに手を出すのは難しいという声も聞こえてくるのも実情です。そこで利用したいのが、複数のサーバーの集中バックアップを実現しているバックアップツールです。こうしたツールの多くが、クライアントバックアップ向けのソリューションを用意しているので、これらを利用するのがよいでしょう。

例えば、シマンテックのBackup Execの場合には、「Desktop and Laptop オプション」を使うことで、クライアントマシンのデータを継続的に保護することが可能になります。バックアップはファイル単位で行われますが、デルタ技術を用いて変更されたブロックのみが転送されるので、ストレージ容量やネットワーク負荷を大幅に削減できます。こうしたソリューションを利用することで、クライアントのバックアップだけでなく、運用に関する労力やコストも削減できるようになるので、そういった部分の課題を抱えているケースでもクライアントマシンのバックアップを検討してみる価値はあるでしょう。

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