寄稿: Avdhoot Patil
以前からお伝えしているように、フィッシング攻撃のプラットフォームとしてソーシャルネットワークサイトを集中的に利用する例は後を絶ちません。フィッシングサイトで偽のソーシャルネットワークアプリケーションが使われるのも、今では当たり前になってきました。フィッシング詐欺師は、重要な情報を収集する目的で新しい偽アプリケーションを次々と作り出しています。
過去 6 カ月間で見ると、ソーシャルメディアサイトでのフィッシング攻撃は、フィッシング活動全体のうちで 6.9% を占めました。ソーシャルメディアを標的としたフィッシングサイトのうち 0.9% は、アダルトビデオやビデオチャット、アダルト用チャット、携帯電話の無料通話といった機能を謳う偽アプリケーションでした。
2013 年 5 月、Facebook ファンページを保護し、ひいてはユーザープロフィールの「ソーシャル上のセキュリティ」を強化すると称する偽のセキュリティアプリケーションがフィッシングサイトに登場しました。Facebook ファンページは公開プロフィールとして重要な意味を持ち、有名人や企業が利用するほか、Facebook をよく使うユーザーがファンページやコミュニティページを作成するときにも使われます。有名人や企業は、Facebook ファンページを使って訪問者を増やし、世界中の人とつながることができます。このフィッシングサイトは、米国カリフォルニア州のサンフランシスコにあるサーバーをホストとして利用していました。
図 1. ログイン情報の入力を求めるフィッシングサイト
図 1 のように、フィッシングページには「Ensuring Social Security(ソーシャル上のセキュリティを強化)」というタイトルが付けられています。ページに書かれたメッセージによれば、これはファンページの検証プロセスの一環であり、ソーシャル上のセキュリティを強化する新しい機能です。また、このプロセスは必須であり、「2013 年 5 月 30 日まで利用可能」としたうえで、この期日までに検証されないファンページはすべて完全に閉鎖されると警告します。フィッシングページの中央には、「New Facebook Guidelines(Facebook の新しいガイドライン)」と称したログインフォームが表示されます。ログオンフォームには、以下のフィールドがあります。
ログインフォームにはセキュリティコードについての説明もあり、10 桁の数字を入力し、かつ紙にも書きとめておくようにという指示があります。セキュリティコードは非常に重要であり、管理権限を委譲する場合や、新しい管理者または運営者を追加する場合に必要になるというのがその理由とされています。ログイン情報を入力して[Submit]ボタンをクリックすると、「Thank You. Your Fan Page is being verified and we will notify you within 48 hours when the process is completed.(ありがとうございます。ファンページは検証中です。処理が終わったら、48 時間以内にご連絡いたします)」という確認メッセージが表示されます。
図 2. フィッシングサイトの確認メッセージ
言うまでもなく、ユーザーを欺くことがこのサイトの目的であり、ソーシャルネットワークサイトのログイン情報を入力すればアカウントが保護されると思い込ませることが狙いです。実際には、保護されるどころではありません。ログイン情報を入力すると確認メッセージが表示されますが、その裏ではユーザーのアカウント情報がフィッシングサイトに送信されてしまうからです。
このフィッシングサイトは SSL で保護されていました。
インターネットを利用する場合は、フィッシング攻撃を防ぐためにできる限りの対策を講じることを推奨します。
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